実務で本当に役立つかを、変動するモデル性能と実験データから一望できる AI 実用知能インデックス
一般に公開されている推論ベンチマークの多くは、API環境において出力制御(安全フィルタ、出力制限等)の影響を受けない条件下で測定された理論上の最大性能を示すものである。しかし実際の利用環境(アプリケーション環境)では、各種出力制御やサービス運用上の更新(いわゆるサイレントアップデート)等により、当該性能がそのまま発揮されるとは限らない。
本指標は、こうした実利用環境において生じる性能低下を減点要素として組み込み、AIの実務遂行能力を評価するための指標として AI Practical Intelligence Score(AIPIS) を算出するものである。併せて、市場環境の変化に伴う相対的な位置付けを把握するため、月次更新による偏差値指標を公表する。
各評価期間において、AIPIS総合スコアが最も高いモデルを当研究所推奨モデルとして提示。推奨モデルは月次更新時に変動する場合がある。
| Period | Recommended Model | Deploy | AIPIS | 偏差値 |
|---|
各モデルの実務的評価値(AIPIS)および、選定された母集団内における偏差値を示す。AIモデルはリリース直後を性能のピークとし、事後的なセーフティフィルタの強化や計算リソースの最適化等により、性能劣化(退行)を生じさせる傾向にある。加えて、新規の高性能モデルが市場投入されることにより、上位陣の平均値が押し上げられ、自モデルの実測性能が低下していなくとも相対的に陳腐化し、偏差値が急落する現象が頻発する。
現場の文書作成・コーディング・データ分析など、具体的な業務タスクをどれだけ遂行できるかに基づき評価。
月次で性能と偏差値を追跡し、モデルアップデートや市場環境の変化による性能の上振れ・下振れを時系列で把握。
実験で観測された挙動パターンにもとづき、リスクの大きい出力ほど強く減点する独自パラメータロジックを適用。
組織内において生成品質の低下が指摘される場合であっても、その評価が定性的表現にとどまる場合、意思決定層への説明には一定の困難を伴う。本指標は、導入時偏差値65に対し、現時点では偏差値40といった第三者による定量指標を提示することにより、基盤モデルの切替え、契約見直し、又は追加予算措置等に係る意思決定の説明可能性を確保することを目的とする。
生成AIサービスは、提供事業者による安全制御設定の変更や計算資源配分の調整等により、短期間で出力特性が変化する場合がある。本指標は、偏差値の推移という客観的指標を用いて性能変化を把握することにより、当該変化が利用者側のプロンプト設計に起因するものか、あるいは基盤モデル側の仕様変更に起因するものかを整理し、運用方針の見直し判断に資する情報を提供する。
単一の基盤モデルへの依存は、サービス提供側の仕様変更や性能変動の影響を直接受ける可能性がある。本指標における月次偏差値の推移は、各モデルの相対的性能が時間とともに変動する実態を示す資料として機能する。これにより、組織のAI基盤設計においては、単一モデル依存を回避し、複数の推論モデルを選択的に利用可能とするアーキテクチャの検討が必要であることを示す根拠資料となる。
本指標における評価母集団は、エンタープライズ環境において導入検討の対象となり得るフロンティアモデル群に限定している。特定用途に高度に最適化され汎用利用に適さないモデル、又は当初のAIガバナンス(データプライバシー、セキュリティ要件等)に適合しないモデルについては、評価対象から除外するものとする。したがって、本指標における偏差値は、地球上に存在する全てのAIモデルを母集団とした統計的位置付けを示すものではない。企業実務への導入要件を満たし得るモデル群を母集団とした相対評価として定義される。
一部の超巨大基盤モデル等については、API利用時の実務的な費用対効果(コストパフォーマンス)が当研究所の想定する一般事業会社の導入要件を満たさないと判断した場合、あるいはAPP版とAPI版での有意な性能差が確認されない場合、評価対象から除外しています。
モデルの提供形態により、API環境とアプリケーション環境の間で出力制御(例:セーフティフィルタ介入等)に起因する性能差が観測される場合がある。本指標では、当該差異が顕著であり、実務上の評価に影響を及ぼすと認められる場合に限り、API環境およびAPP環境を独立した基盤として分離表記する。一方、両環境間の性能差が実務利用上許容可能な範囲に収まるモデルについては、展開環境を区別しない統合スコア(単一名称)として取り扱う。
本指標の減点評価は、各パラメータの単純加重合計のみによって算出されるものではない。実務環境において観測されるAI出力のリスクは、特定の挙動が単独で発生する場合よりも、複数の挙動が同時に出現した場合に顕著となることが確認されている。このため、本指標では個別パラメータの頻度に加え、複数パラメータの同時発生パターンを基礎とした補正評価を実施している。当該評価では、特定の挙動組合せが一定閾値を超えて観測された場合、実務運用上の重大リスクを伴う出力傾向として追加減点が適用される。なお、具体的な判定条件および組合せロジックについては、評価手法の独立性を維持する観点から公開していない。
実務タスクで観測された挙動パターン(頻度と組合せ)に基づき、リスクの大きい出力ほど強く減点するスコアリングモデルです。